
介護保険で利用できる在宅サービスには、ホームヘルプサービス(訪問介護)やデイサービス(通所介護)などの様々なサービスがありますが、福祉用具の貸与・購入費の支給や住宅改修費の支給もそのなかの1つです。
今回は、これらの福祉用具の貸与および購入の対象となる福祉用具、そして住宅改修費の支給について紹介します。
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福祉用具の貸与および購入の対象となる各福祉用具については、その機能または構造などによっては該当しないものもありますので、ご利用の際は居宅介護支援事業者や福祉用具 貸与事業者などにご相談ください。 |
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掲載した各福祉用具の写真は、あくまでも対象となるものの一例です。他にも様々な種類のものがありますので、詳しくは福祉用具貸与事業者などにご相談ください。
(写真提供:株式会社エンパイアー「エコール福祉用具レンタル販売総合カタログ」) |
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介護保険で給付を受けるには |
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介護保険により福祉用具を利用するには、要介護認定を受けて介護や支援が必要な状態(要支援・要介護1~5)と認定されていることが前提となります。この要介護度に応じて、介護保険サービスを利用できる限度額が決まります。
また介護保険のサービスを利用するには、どのようなサービスをどのような頻度で組み合わせて利用するのかという計画(介護サービス計画(ケアプラン))を作成して利用することとなります。福祉用具の利用についても、この計画に盛り込まれることで利用が可能となります。 |
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福祉用具の貸与について |
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介護保険制度による福祉用具の利用は、基本的に貸与(レンタル)となります。介護保険の貸与(レンタル)の対象となる福祉用具については前ページで紹介したとおりです。これらの福祉用具を介護保険指定の事業者、「指定福祉用具貸与事業者」からレンタルします。福祉用具貸与事業者には、福祉用具の専門相談員がおり、どのような福祉用具がよいのか相談に応じ、使用方法の説明や利用する方に応じた福祉用具の調整等を行います。また、必要に応じて利用状況の確認や修理を行います。
費用についてはレンタル料の1割が自己負担となります。また支給限度額を超えた部分は自己負担となります。利用できる限度額などの詳細につきましては、居宅介護支援事業者や福祉用具貸与事業者などに相談してください。 |
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福祉用具の購入費の支給について |
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入浴と排泄に関する福祉用具については、再利用が困難であったり、利用者の心理的な抵抗感もあるので、購入して利用することになります。購入費の支給の対象となる福祉用具については前ページで紹介したとおりです。利用者の自己負担額は1割です。
購入費の支給限度額は、要介護度にかかわらず一定額で年間(4月からの1年間)10万円です。また、この期間内では同じ種目の福祉用具について2回以上購入費の支給を受けることはできません。ただし、既に購入した福祉用具が壊れた場合や、用途や機能のことなる福祉用具を購入する場合(例えば、入浴補助用具の入浴用いすと浴槽用手すり)などは支給を受けることができます。
支払方法は「償還払い」となりますので、いったん利用者が全額(10割)立て替え払いをし、あとで購入費の9割が支給されます。
購入に係る金額や申請にかかる手続きなどの詳細につきましては、居宅介護支援事業者や指定福祉用具貸与事業者などに相談してください。 |
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車いす・車いす付属品 |
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「車いす」は、「自走用標準型車いす(普通型車いす)」、「普通型電動車いす」および「介助用標準型車いす(手押し型車いす)」のいずれかに該当するものです。
また「車いす付属品」とは、車いすの利用効果増進に役立つもので、車いすと一体的に使用されるものをいい、「クッション」、「電動補助装置」などが該当します。 |
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自走式車いす |
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電動車いす |
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介助式車いす |
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クッション |
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特殊寝台・特殊寝台付属品 |
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「特殊寝台」とは、サイドレールが取り付け可能なもので、背部もしくは脚部の傾斜角度が調整できるもの、または床の高さを無段階に調整できるもので、一般的に「介護用ベッド」と呼ばれているものです。
また「特殊寝台付属品」とは、特殊寝台の利用効果増進に役立つもので、特殊寝台と一体的に使用されるものをいい、「サイドレール」、「マットレス」、「ベッド用手すり」などが該当します。 |
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介護用ベッド |
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サイドレール |
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マットレス |
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ベッド用手すり |
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じょく瘡予防用具 |
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じょく瘡予防用具とは、体圧を分散することにより、圧迫部位への圧力を減ずることを目的として作られたもので、次のいずれかに該当するものになります。
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エアー・マットと送風装置または空気圧調整装置からなるエアーパッド |
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水、エア、ゲル、シリコン、ウレタンなどからなる全身用のマット |
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体位変換器 |
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体位変換器とは、空気パッドなどを身体の下に挿入することにより要介護者などの座位を容易に変換できるものをいいます。ただし、もっぱら体位を保持するためのものは除きます。 |
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手すり |
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手すりは、取り付けに際し工事を伴わないもので、次のいずれかに該当するものとなります。なお、特殊寝台用の「ベッド用手すり」は除かれます。
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居宅の床に置いて使用することなどにより、転倒予防もしくは移動または移乗動作に役立つことを目的とするもの |
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便器またはポータブルトイレを囲んで据え置くことにより、座位保持、立ち上がりまたは移乗動作に役立つことを目的とするもの |
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洋式トイレ用手すり |
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スロープ |
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スロープ |
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スロープは、段差解消のためであって取り付けに際し工事を伴わないものとなります。個別の利用者のために改造したものおよび持ち運びが容易でないものは含まれません。 |
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歩行器 |
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歩行器は、歩行が困難な方の歩行機能を補う機能を有し、移動時に体重を支える構造を有するもので、次のいずれかに該当するものになります。
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二輪、三輪、四輪のものは、体の前および左右を囲む把手などがあるもの |
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四脚を有するものは、上肢で保持して移動させることが可能なもの |
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歩行補助杖 |
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歩行補助杖は、「松葉づえ」、「カナディアン・クラッチ」、「ロフストランド・クラッチ」および「多点杖」が対象となります。 |
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痴呆性老人徘徊感知機器 |
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痴呆性老人徘徊感知機器は、要介護者などが屋外に出ようとした時などに、センサーにより感知し、家族や隣人などへ通報するものです。 |
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移動用リフト(つり具の部分を除く) |
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移動用リフトは、床走行式、固定式または据置式であり、かつ身体を吊り上げまたは体重を支える構造のものであって、それにより自力での移動が困難な方のベッドと車いすとの間などの移動を補助する機能を有するものです。なお、取り付けに際して住宅改修を伴うものは除きます。 |
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固定式 |
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床走行式 |
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腰掛便座 |
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腰掛便座は次のいずれかに該当するものとなります。
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和式便器の上に置いて腰掛式に変換するもの |
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洋式便器の上に置いて高さを補うもの |
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電動式またはスプリング式で便座から立ち上がりの補助機能があるもの |
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ポータブルトイレ |
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和式便器の上に 置くもの |
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洋式便器の上に 置くもの |
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立ち上がりの補助
機能があるもの |
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ポータブルトイレ |
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ポータブルトイレ |
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特殊尿器 |
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特殊尿器は、尿が自動的に吸引されるもので高齢者または介護者が容易に使用できるものです。 |
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入浴補助用具 |
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入浴補助用具は、入浴に際して座位の保持、浴槽への出入り等の補助を目的とする用具で、「入浴用いす」、「浴槽用手すり」、「浴槽内いす」、「入浴台」、「浴室内すのこ」、「浴槽内すのこ」のいずれかに該当するものとなります。 |
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入浴用いす |
浴槽内いす |
入浴用いす |
入浴用いす |
浴槽用手すり |
入浴台 |
入浴台 |
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簡易浴槽 |
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簡易浴槽は、空気式または折りたたみ式などで容易に移動できるもので、取水または排水のための工事を伴わないものとなります。 |
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移動用リフトのつり具の部分 |
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移動用リフトのつり具の部分は、身体に適合するもので、移動用リフトに連結可能なものとなります。 |
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介護保険で利用できる在宅サービスには住宅改修費の支給も含まれます。住宅改修費等の支給に係わる住宅改修の種類は次のとおりです。 |
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手すりの取付け |
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廊下、便所、浴室、玄関などに転倒予防もしくは移動または移乗動作に役立つことを目的として設置するものです。 |
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段差の解消 |
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居室、廊下、便所、浴室、玄関などの段差を解消するための住宅改修をいいます。具体的には、敷居を低くする工事、スロープを設置する工事、浴室の床のかさ上げなどです。ただし、福祉用具貸与によるスロープの設置または購入費の支給による浴室内すのこの設置による段差の解消は除きます。 |
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滑りの防止および移動の円滑化などのための床または通路面の材料の変更 |
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引き戸などへの扉の取替え |
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開き戸を引き戸や折戸、アコーディオンカーテンなどに取り替えるといった扉全体の取替えのほか、ドアノブの変更、戸車の設置等も含まれます。 |
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洋式便器などへの便器の取替え |
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その他これらの住宅改修に付帯して必要となる住宅改修 |
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手すりの取付けのための壁の下地補強、浴室の床の段差解消(浴室の床のかさ上げ)に伴う給排水設備工事なども対象となります。
住宅改修費の支給限度額は、要介護度にかかわらず一定額で20万円です。利用者の自己負担額は1割です。支払方法は、「償還払い」となりますので、いったん利用者が全額(10割)立て替え払いをし、あとで改修費の9割が支給されます。
住宅改修費の支給は原則として1回だけですが、要介護のランクが大きく変わった場合および転居した場合については、再度住宅改修費の支給を受けることができます。
住宅改修には様々な専門知識が求められますので、高齢者の住宅改修の実績があり、アフターサービスなどについてもしっかりとしている適切な業者を選ぶことが大切です。
住宅改修費の支給や申請にかかる手続きなどの詳細につきましては、居宅介護支援事業者などに相談してください。 |
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